佐藤耳no耳

佐藤耳といいます。小さな詩のような物語を不定期で書いてゆきます。また、読めばなんだかすっきり?為になる?「きょうの呪文」もできれば頑張って更新したいな。いずれは小説とかも発表するかも、です。幻想的な文章、少し怪奇成分の混じったものが大好きなんですが、ホンモノのオバケは苦手だよ。写真、イラストはすべてフォトAC様、イラストAC様から。心より感謝しています。また規約に則って使用させていただいています。

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

歩道橋の蜃気楼。そしてトマトとオレンジ。

トマトとオレンジ、どっちが好き?と訊かれても、わからないし、わたしには選ぶことはできません。 トマトっぽい子と、オレンジっぽい子がいて、ふたりとは親友なんだけど、いっつもあの子たち、喧嘩をするの。 でもオレンジの子は死んで、トマトの子は長い…

星の娘たち

ペパーミントの息でもって冷たい月を吐いたり、吸ったりしている女の子がわたしです。 心が氷になった晩のこと。星の豪雨が降りました。やがて星の雨がやんだ朝、うるわしい緑の大気であふれてる。 午前四時のビルの屋上。初夏の爽やかな自殺者は、きれいな…

空のこと忘れないよ、わたし

鳥の羽根を持ってるわたしが飛べなくて、持ってないキミが空を飛べるなんて、どうしてだろうね?と思っちゃう。 それにしてもおかしな話だよね。水中で羽搏くペンギンみたいに、キミは空にいるときだけは元気いっぱい。 おーい、と手をふるわたしを無視して…

雲の呪術師

なんでも心配してくるあの子は、雲の呪術師。雲をガラスの壜に閉じこめては、観察するのが日課です。 彼女は言ってた。ずっと雲をみていると、人間からみた雲じゃなく、雲からみた人間がみえてくるんだって。 呪術師のあの子自身が、いつしか壜のなかにはい…

砂場心理療法士のえみちゃん

砂場は海。わたしたちは船。ライバルは小学生で、わたしは日々、彼女と死闘を繰りひろげているのです。 だってわたしは、砂場心理療法士だから。夜明け前、ご近所の公園や、幼稚園の砂場にこっそり出かけては、侵入するのが仕事。 そんなわけで朝の砂場はご…

赤いお屋根の小さなお家と、夢みる骨

小さい子どもでしたけど、それでも野ねずみよりは大きかったわたしは、ある夜のこと、こんな夢をみました。 赤い三角のお屋根が特徴的な、とても可愛らしいお家があり、どうかきてください、と、そのお家自身がわたしのこと。招待してくれているのです。 お…

雨の水族館と、白いお馬

傘をさしたなら、かならずスカートのポケットにわたし、ニンジンをしのばせて、雨の水族館に出かけてゆきます。 ひんやりブルーの水槽のむこう、視線はおサカナをもスルーし、なぜか、湖と、湖畔にたたずむ白いお馬をみるのです。 雨のしずくが耳のなかで鳴…

星の涙と、プラネタリウム

プラネタリウムで眠ったわたしは、死んだお人形。きのうまでは、生きていたというのに。 きみと、サヨナラしてからです。天の川は涙の河となりました。星のひとつぶが濡れて光る涙のしずく。 プラネタリウムもまた、死んだ星の涙でできている。そのことをわ…

グルグルの秘密と火のダンス

意地悪をしてくるポルターガイストが好きだった、と言うと、みんなはとても変な顔をします。 彼女は幽霊。誰かれかまわず憑依をしては、わたしの髪を引っ張ったり、家具を動かしては困らせる。 でも彼女のこと、いとおしい。だって生まれることのなかった、…

アオゾラキカイ

雨が降ってきたというのに恋人は、約束してた楡の樹の下に、きょうもまた、やってきませんでした。 こんもり、傘みたいに緑がひろがる樹の下だったけど、土砂降りになったらわたしはびしょ濡れ。 だからロボットになることに決めました。赤さびた少女のロボ…