佐藤耳no耳

佐藤耳といいます。小さな詩のような物語を不定期で書いてゆきます。また、読めばなんだかすっきり?為になる?「きょうの呪文」もできれば頑張って更新したいな。いずれは小説とかも発表するかも、です。幻想的な文章、少し怪奇成分の混じったものが大好きなんですが、ホンモノのオバケは苦手だよ。写真、イラストはすべてフォトAC様、イラストAC様から。心より感謝しています。また規約に則って使用させていただいています。

夜明けの梟(ふくろう)を恋のキューピッドに

魂を奪われた少年なんだ、と、夜明けにやってきた梟(ふくろう)が、わたしに囁きかけます。
瞳は美しいガラスでできている代償に、少年のみる色彩には音楽も、感情すらもない。
でも凍てついた氷の宮殿での生活に、ほかならぬ彼自身が傷ついているのでした。


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五歳で亡くなった弟が少年の魂を奪いさったのだ、と告げる梟。
旅立ちの日にさみしすぎるから、兄の希望のすべてを根こそぎ奪って行ったのだ、と。
魂の奪還をしなくては、と力説する梟に、わたし、困惑してしまいます。



ふと気づいて、わたし、いいます。だけど梟さん、ほんとはあなたが弟さんなのね?
不しあわせな兄を見るに見かねて、弟の良き心が梟となり、どうやら救いを求めにやってきたらしい。
それにしても、どうしてわたしなの? と途方に暮れてしまいます。



なぜなら、あなたは兄に片想いしてるから、と弟はかたり、恥ずかしくなるわたし。
梟を恋のキューピッドに仕立て上げ、少年にとびきりの色と、すてきな音楽をそそぎこみましょう。
いつか彼の魂が、骨と肉と血によって、みずみずしく潤う地球に芽吹き、うるわしい花を咲かせるその日まで。